暖機運転は必要なのか?元エンジンチューナーでエンジンオイルのプロが答えます

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暖機運転は必要なのか必要でないのか?議論に終止符

暖機運転の目的はなんなのでしょうか? エンジンを摩耗から守るため?と思っている方もきっと多いでしょう 

暖機運転のポイントは 適正温度にならないと エンジンの性能が引き出せないという事です

結論からいいます

 暖機運転はキャブ車時代の名残で 現代のエンジンは不要です 

暖機運転について詳しく解説

その昔、車もバイクもキャブレターがありました キャブレターとは燃料を供給する装置です

このキャブレターにはチョークというものが付いています チョークとはエンジンをかけるときに燃料を増やす役目をしています

なぜチョークが必要なの?深堀します!

冷間時

ピストンは横からみると台形で真上からみると楕円形をしています 

温間時

熱が加わった時に真横からみて四角になり 真上からみると真円になるように設計されていからです

エンジンが冷えている場合は台形ですから隙間が大きいのです この隙間から燃焼圧力が逃げてしまいます エンジンはかかるものの これではアイドリングできません

そこで燃料を濃くすることで アイドリングが出来るようになってきます 濃い燃料ですからアイドリングする回転数は2000回転ほどと高くなります

チョークを戻し忘れるとどうなるのか?

チョークを戻しわすれると エンジンが止まります ピストンが熱により膨張して正常な形状になると燃料が濃すぎるために 点火プラグが燃料で濡れてしまい 火花が飛ばなくなります そうなるとエンジンがとまります

これを「かぶり」といいます プラグが燃料をかぶってしまうことから来ています
この技術的な部分は整備士であれば理解しているはずです

エンストは大変危険

チョークを戻し忘れ エンジンが止まった場所が
・交差点の中であったなら
・高速道路であったらなら
・踏切の中であったなら
大変危険なことと容易に想像が出来ると思います

だから昔のエンジンは暖機運転が必要だったのです

暖機運転はエンジンを傷めないことを目的としているのではなく エンストしての事故防止にあるのです 自動車メーカーの取り扱い説明書には暖機運転してからとの記載はこのためにあります

これがいつの間にかエンジンを傷めない為に暖機運転が必要だとすり替わってしまっています もちろん愛車を大切にしたいという気持ちは私も同じです

ところがレース用の鍛造ピストンを入れてたエンジンでも暖機は不要なのか?という意見も聞かれます この話はレース車両の話をしていのではなく 一般公道をノーマルエンジンで走行する場合の話をしています

レースや改造車などと混同されないようにお願いいたします

現代のエンジンには暖機運転不要

現代のエンジンは暖機運転は不要です むしろエンジン始動後すぐに走り始めた方がよい 
暖機運転するだけ燃料の無駄

エンジンはコンピューターが制御しています

暖機不要の根拠にWLTCモード

燃費をカタログに載せるためには国際ルールに従った計測法を行います 昔は10モードそして10・15モードそしてJC08モードに変わり現在はWLTCモードになっています

10モードの場合は暖機運転が終わってからの測定でしたがWLTCモードでは始動直後からの燃費測定になってます

つまり暖機しないことが前提です

技術の進化

技術の進化は目覚ましく ハコスカなど昔のエンジンに使われていたピストンは縦長なのがわかります

現代のピストンは短いのが分かります これはピストンの膨張率が違うから出来るのです
現代のエンジンに使われているピストンは精度が高く 膨張率も低いこのため横から見ると台形の形状が四角に近い状態であること

このため暖機する時間がとても短いことにあります

暖機運転しないとオイルが循環しないの意見があります

暖機運転をしないとオイルが回らずにエンジンを傷める

硬いオイルがエンジンを回るはずが無い!
などとの書き込みを目にすることがあります

ここからはエンジンオイルのプロとして回答します

潤滑には「流体潤滑」と「境界潤滑」と「混合潤滑」3つの潤滑があることをご存じでしょうか?

流体潤滑とは油中に浮かんだ状態の潤滑のこと

オイルポンプによりオイルが送りだされています この送り出されたオイルの圧力つまり油圧により油中に浮かんだ状態を示します

流体潤滑とは水上スキーと同じ原理です 油圧により油中に浮いた状態ですから オイルが循環するまでの一瞬ですが境界潤滑状態となります

境界潤滑とはオイルが無い状態での潤滑

エンジンが冷えた状態(冷間時)はオイルはオイルパンに溜まっています このオイルが吸い上げられてくるまでは 境界潤滑状態にあります

このオイルが無い状態の境界潤滑で重要なのがオイルに配合されている添加剤です 暖機運転とはなにも関係ないのがわかります

混合潤滑

オイルに浮かんだ状態ですから摩擦や摩耗は起きませんが アクセルのON・OFFによってピストンの圧力で下に押し付けられたりしますつまり流体潤滑と混合潤滑を繰り返す部分があります

その部分がクランクシャフト・カムシャフトです

オイルが無い状態でも潤滑させるのが圧力分散剤(極圧剤)の役目だが

オイルが回るまでに一瞬の時間は極圧剤が摩耗・摩擦を防いでくれています しかしこのわずかな時間ですが摩耗しています 

エンジンはスタート 停止を繰り返すことが苦手なのです これを不正ぐ力は粘度や添加剤の役目でコールドスタートに強いエンジンオイルということになります

どんなオイルでも交換サイクルを短くして乗ることも一つの考え方ですが それだけではエンジンを守ることは難しいのです

圧力分散剤と潤滑油の油膜がキーポイント

配合される添加剤は様々ありますが 特に重要なのが圧力分散剤(極圧剤)といいますこの添加剤は金属表面に被膜をつくることで 金属同士が直接接触しないようにする添加剤です

この添加剤の質により摩擦・摩耗を抑制しているわけです ですからこの添加剤の質が悪いとエンジン始動時に摩耗していくことになります

これをコールドスタート(冷間時スタート)といいます

コールドスタート時の摩耗を抑制するには

そして油膜は厚い程摩耗を抑制し 圧力分散剤(極圧剤)の質が良い程エンジンの保護性能が高いといえます

コールドスタートに強いオイルは油膜の厚みと圧力分散剤にあります

製造方法でことなる油膜の厚み

製造方法には2つの製造方法があるのはごぞんじでしょうか

1:通常製法
2:ノンポリマー製法

通常製法

このポリマー(増粘剤)は熱に弱くせん断に弱いという特徴があり、ドロドロにしてもすぐにサラサラに戻ってしまいます つまり油膜は薄くなる傾向にあります

通常のエンジンオイルの作り方は1種類のベースオイル(基油)に添加剤を混ぜることで、エンジンオイルという製品になります。


そこで使われるのが、ポリマー(増粘剤)です。 

水の様にサラサラとしたベースオイルにポリマー(増粘剤)を加えることにより、ドロドロにしているわけです。

例えば 水に片栗粉を入れるとドロドロになるのと同じ理屈です

通常エンジンオイルは水の様なサラサラなベースオイルにポリマーを混ぜてドロドロにし粘度を作り上げます VHVIは需要が大きい為通常製法だと鉱物よりも安価に生産が可能な場合もあります

ポリマーは熱とせん断に弱い

  1. ポリマーは熱とせん断に弱い 
  2. 劣化すると元の水の様なベースオイルに戻って行く(オイルが黒くなる原因) 
  3. 隙間を埋める力が弱くなると劣化したヘッドカバーからのオイル漏れやピストンとシリンダーの隙間からオイルが上がってきて白煙・オイル消費につながりやすくなることもあります
  4. 熱が加わるとサラサラ変化してアクセルレスポンス・燃費に有効

通常製法のメリット

  1. 近代エンジン
  2. レース
  3. エコカーの燃費向上

近代エンジン向きで旧車・過走行車向きではないことがわかります

ノンポリマー鉱物オイルRICH(リッチ)製法とは

ノンポリマーは文字通りポリマー(増粘剤)を使わない製法です

2種類のベースオイルを贅沢に使い粘度(ドロドロ)にしていきます そのため大変なコストをかけての製造を行う事になります

ノンポリマー製法はベースオイルの性能を引き出す製法

例えば レストランに行ったとします 大手チェーン店では味も価格も同じでないといけません

美味しく見せるために 発色剤を使い 保存期間を長くするために保存料を使います

これで体に優しいといえるでしょうか?

ノンポリマー製法とは余計な添加剤を使うことなく ベースオイル本来の性能を引き出す製法でエンジンにとって大変優しいオイルが完成します

ノンポリマーのメリット

  1. 熱に対してドロドロ加減が安定する
  2. 粘性が安定すると隙間を埋める力が強くなる
  3. 隙間を埋める力が強くなると旧車・過走行車のピストンとシリンダーとの隙間、ヘッドカバーとの隙間からのオイル漏れ予防ができるようになる

ノンポリマー製法についてもっと詳しく>>

化学合成オイルのメリットとデメリットをもっと詳しく>>