エンジンオイルの闇

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エンジンオイルは企業秘密の塊り

エンジンオイルは企業秘密の塊であり 本当の事をいうメーカーはまずありません そのため憶測でオイルを語るかたが非常に多くなります

例えると 「化学合成は熱に強い」嘘は言っていませんが 正確ではありません 正確に言うならば 
・化学合成は高温に対して分子が安定している
・せん断に強い
これを簡単にいうと熱に強いということになります

熱に強いと言われた消費者は 高温に強いからと油温130℃でも大丈夫と誤認してしまいます 

まずその様な高温で走るとエンジンを壊すのと同じですエンジンの設計の油温85℃をベースに設計されているからです

元エンジンチューナーでエンジンオイルのプロ 代表取締役社長 下地直樹

Super GTなどのオンボードカメラを見ると時々モザイクがかかっていない場合があります そこに写し出されているのは水温や油温です その時の温度は水温85~95℃ 油温85~95℃です

一般的に言われている温度なのがわかります どんなにハイパワーなエンジンでも水温・油温を適正に保つ必要があって その温度を維持するために様々なクーリング対策を行っているから連続走行が可能なのです

個人的な見解が一人歩きしています

100℃を超える温度に対してどのメーカーも大丈夫とは一言も言っていません 雑誌や個人でレースをするかたの個人的な意見を載せているにすぎません しかも有名なレーサーでさえ そう言い切ってしまっています

彼らはレースのプロであってオイルのプロではありません 権威ある人がそう言うならば間違いないと思ってしまいますよね

油温は100℃で設計されていため 配合される添加剤はその温度を超えると 10℃を上回る度に添加剤は2乗の速度で劣化していきます

簡単にいうとあっと言う間にベースオイルよりも先に添加剤が劣化して使えなくなるというものです

化学合成(VHVI)

化学合成にはVHVIと呼ばれるものがあります これを別名グループ3(スリー)です このVHVIを作る過程を知ればそれほど驚くものではないことがわかります

VHVIの製造過程

原油からグループ1(鉱物ベースオイル)の元となるものを取り出します

水素を使い不純物を取り除きます 出来たのがグループ1 不純物が多く 分子の大きさがバラバラです 大きすぎる分子 小さすぎる分子が多すぎます 小さすぎる分子は熱により蒸発して無くなることからオイルが減るという現象がでます

これらの事が粗悪だと言われることに

グループ2を作る(鉱物ベースオイル)

出来たグループ1を使い 大きすぎる分子 小さすぎる分子と残った不純物を取り除きます 分子の大きさを一定に保ったのがグループ2

とても品質が安定しているものです

グループ3(VHVI)を作る(化学合成ベースオイル)

出来たグループ2を使い 一旦分子をバラバラに分解して 再結合させます すると分子はこれまでよりも小さくなります 小さくなることで0W・5Wの製造が可能となっています 

一度バラバラに分子を分解することから 化学合成を名乗ることが出来るようになっていますが いまでもVHVIを鉱物ベースオイルと位置付けているメーカーgが多いのも事実です

簡単にいうと流動性(粘り)が低くなりエコカー向けのオイルが出来るわけです

グループ3(VHVI)の潤滑性はグループ1・2とさほど変わらない

同じ原油から精製されているオイルです 化学合成は潤滑性が高いといいますが 元々原油から作り出されるので潤滑性は変わりません

潤滑性が変わる理由は配合される添加剤の質にあることを忘れてはなりません

潤滑性は変わらないが高温に対して分子が安定・せん断に強くなる

分子が均一化されるごとに熱に対して安定しせん断に強くなります

せん断ってなにか分かりにくいですよね解説します

ここに豚肉のかたまりがあったとします さわると弾力もありますがこれがミンチになるとどうなるでしょうか?

豚肉のかたまりには弾力を感じますが ミンチ状になると弾力はなくなるのがわかりますね つまり豚肉のかたまりが分子とすれば ミンチ状になったものは弾力を失う つまり粘りが無くなることを意味します

でもベースオイルは劣化しにくい!

熱に強くせん断に強いならば長持ちオイル(長期間の使用に耐える)はずですよね?

その通り!
・化学合成の耐久性は一説によると60,000㎞ほど
・鉱物オイルの耐久性は30,000㎞ほどあると言われています

なのに何故5,000㎞や10,000㎞で交換する必要があるのでしょうか? その訳は最初に話をした配合する添加剤が先に劣化して使えなくなるからです 

ベースオイルの性能ばかりに目がいっている事に注意

エンジンオイルはベースオイルに添加剤を加えないとエンジンオイルという製品にはなりません 雑誌などにはベースオイルにフォーカスさせます

ですがベースオイル自体の潤滑性は配合する添加剤でどうにでも操作できるものです

多くのかたがピストンとシリンダーの摩擦を減らせればと思うはずです

実は良くみるとピストンとシリンダーではなく ピストンリングとシリンダーとの摩擦と摩耗が問題なのです

ピストンリング部分にはオイルは無く これを境界潤滑といいますが これを潤滑させているのはベースオイルではなく 添加剤の役目です

金属同士が接触しないようにする添加剤がありそれを圧力分散剤(極圧剤)と呼ばれる添加剤が仕事をしています

ベースオイルだけにフォーカスするのではなく オイルとしての完成品の性能に目を向ける必要があります

VHVI・エステル・PAO・鉱物このようなベースオイルの性能は問題にならないのです

市販添加剤をご検討中にかたへ

エンジンを労わりたい 長く大切に乗っていきたいとの気持ちはよくわかります もっと走りたい 楽しみたいという気持ちもよくわかります

しかしその添加剤を加えることで 逆効果になってしまうこともしばしは発生しています

例えば 現代のエンジンをとても精密に作られいます 色々な補器類が取り付けられています

EGRというものがあり 添加剤の影響でEGRの目詰まりを起こしてしまう可能性も出てきます 実際起きています

もちろんEGRが付いていない古い車であれば問題はありません

添加剤は触媒を傷める原因にもなります 
オイルがゲル状に固まってしまう事もあります

添加剤は入れると効果を感じるかもしれませんが 副作用も大きいと考えた方が無難です 

市販されている添加剤はエンジンオイルにすでに配合されています 
配合されている添加剤は以下の通り

・酸化防止剤
 エンジンオイルの酸化を防止して長持ちさせます

・粘度指数向上剤
 20・30・40・50などの粘度(粘り)を作り上げます

・流動点降下剤
 0W・5Wなどの寒冷地でのエンジン始動性を良くするための添加剤

・清浄分散剤
 ブローバイガスなどの排ガス混入などの汚れを分解し 
 油中に浮遊させます

・腐食防止剤
 サビが発生しないようにします

・極圧添加剤
 摩擦・摩耗を抑制させエンジンレスポンス向上・燃費向上・
 摩耗からの 保護を目的とします

多くの摩擦低減・摩耗抑制を目的とした添加剤はこの摩擦調整剤です

・油性向上剤
 油性向上剤は耐荷重添加剤の1つで 油性剤・潤滑性向上剤とも呼ばれ
 低荷重下における摩擦面に油膜を形成し 摩擦および摩耗を減少させます

・消泡剤
 高温になるとオイルは水の様に変化してしまいます この時にビールの泡の様に泡立ち
 することがあり 泡立つと油圧が低下してオイルが送り込まれなくなることを防ぎます

・抗乳化剤
 オイルが水と混ざりマヨネーズ状に乳化(エマルジョン)しないようにします

これらを市販の添加剤として切り売りしています

極圧添加剤・摩擦調整剤

エンジンのレスポンス向上や燃費向上をする添加剤は極圧添加剤と呼ばれるものです
別名圧力分散剤ともいいます この添加剤がピストンリングなどの摩耗や摩擦を抑制したり ベースオイルの補助の役目をするものです

粘度指数向上剤(ポリマー)

オイル漏れや白煙防止・オイル消費防止をする添加剤は粘度指数向上剤(ポリマー)といいます

これを添加することで5W-30は5W-40になってドロドロに粘りを出す作用があります それならば最初から5W-40を入れた方がいいのでは?と個人的には思いますが この点は個人の価値観の違いでしかないと思います

清浄分散剤

エンジン内部の汚れを落とす添加剤です 中古車などはエンジンオイルの管理が出来ておらずスラッジが大量に付着している場合が多い為 この洗浄剤を使おうと思っているかたも多いと思います

しかしこの洗浄剤を一回入れて数千キロ走ったところで落ちることはありません 長期にわたり使い続けることが大事で 短期間で綺麗になるものと誤認しているかたも多いです

通常3年かけて落ちるものが2年で落ちるとなれば 洗浄力は強いと言えますが 強すぎると弊害が必ずでます 汚れがかたまりで落ちたりすると オイルの吸い込み口(ストレーナー)が塞がりオイルが流れず焼き付きにつながります

市販の添加剤を使用するのは避けた方が無難です

この図はエンジンオイルの働きの相関図になります 例として 粘度特性が変わると摩擦・摩耗に影響を与えることが分かっています 摩擦・摩耗に変化がでると摩耗特性・極圧 耐摩耗性に影響をあたえそれが冷却や密封性に影響をあたえるとまるでピンボールの様に影響を与えることが分かっています

ターボ車のブーストを上げるとパワーが出ますが パワーが出た代わりに 熱量が大きくなり 油温が上昇してしまいます 駆動系にも負担がかかり壊れる原因のひとつになるのもお分かりになると思います

つまり何かを変えると他のなにかも変わることになり バランスが狂うことで エンジンパワーに影響がでたり最悪の場合オイルに含まれている添加剤同士が添加剤と化学反応を起こしジェル状に固まる事故も起きていますので使用には十分な注意が必要です

部分合成について

部分合成の言葉の意味を紐解いてみましょう 意味をよく考えてください

部分的に合成を使っていると読み取ることが出来ませんか? もし部分的に鉱物を使うのであれば部分鉱物になるはずです

グループ1とVHVIを混ぜてるのが多い

食品表示においてもゼロカロリーといいつつ全くのゼロではない事は知られています さて部分合成はいったいどのくらい合成の成分を使っているのでしょうか?

鉱物オイルと化学合成(VHVI)を混ぜて作るのが部分合成です 
その鉱物はグループ2でしょうか?
それともグループ1でしょうか?

配合比率こればかりは企業秘密なので知る由もありません

グループ1も潤滑性に問題があるわけではありません グループ2・3は輸入に頼っているに対してグループ1は国内で入手可能で 製造時のコストが非常に安価なのです 

エステルは加水分解する

加水分解という作用により合成潤滑油などが使用不可能になることがあるようです。このような有機物の加水分解について,具体的な事例をあげて説明して下さい。 解説します。 水の作用による化合物の分解反応の起こりにくさを示す尺度として加水分解安定性があります。一般に,加水分解安定性が悪いと分解反応物が油に不溶となって分離したり,腐食性を示す場合があります。 通常,鉱油系は安定で,水の作用により分解生成物を発生することはありませんが,エステル系合成潤滑油や金属石ケン系やエステル潤滑油添加剤のなかには,水が入ると不安定になるものがあります。 この具体例を2,3説明してみましょう。

加水分解とは水分が混ざると分子が分解しますということです つまりオイルとしての働きはなくなり場合によってはエンジン焼き付きます

水って入り込むの?

ガソリンは炭化水素ですH(水素)とC(炭素)の分子が結び付いて出来ているものです 燃焼はO(酸素)がHとCと結びつくことなのでH2O(水)CO(一酸化炭素)CO2(二酸化炭素)などが出来ます

水が必ずできるので冬場はマフラーから湯気が出てくるのはこの為で 夏は気温が高く見えないだけで水は出来ています

エンジンオイルが乳化(エマルジョン)したもの

この水が加水分解したりオイルフィラーキャップにマヨネーズの様なオイルが白くなった(エマルジョン)ものになります

PAO(パオ)は生産量が非常に少ない

PAOは生産量が非常に少なくPAO 100%と言うのは事実上ありません 昔PAO 100%は無いと言っていたらあるとの情報をいただいたのですが あるにはあったのですが すぐに販売終了となっています

通常PAOはエステルと混ぜて使われることが多いのが実情です

エンジンオイルの選び方

エンジンオイルは使い方・環境・エンジンの状態で選ぶのもです 指定粘度が0W-20だから0W-20しか使えないと思っていませんか?

純正オイルが一番安心だと思っていませんか?

純正オイルは毎年何十万台も生産する車やバイクに必ず入れて出荷する必要があります そのオイルに1リットルいくらのコストをかけていると思いますか?

一つの部品の生産コストを1円いや50銭を安くするために 下請け企業は苦しんでいることは皆さんご存じのはずです

オイルもコストをかけないことが求められています 新車の時は異常も起きませんから大丈夫なのですが 数万キロを走る頃には摩耗が進み某メーカーは早い物では7万キロで白煙を出すというもの珍しくありません

1年1万キロを走ったとして7万キロはたったの7回のオイル交換しかしていないことになります

純正オイルを過信してもいけませんし 交換サイクルが15000㎞を書かれているものを信じて使うと 使い方や環境やエンジンの状態が違う為 説明書通りには絶対にならないことです

目的にあったオイルを選びましょう

エンジンオイルは使い方・環境・エンジンの状態で選ぶのもです 目的にあったエンジンオイルを使いましょう とにかく安いエンジンオイルを頻繁に換えたいと思うのであれば それで良いと思います 人それぞれ価値観というものが違いますから

燃費を良くしたい場合は低粘度を選ぶことにありますが 走行距離が多い場合は低粘度を使う事で オイルが減ったり 白煙になる場合もあります

特にオイルの製造方法でこれらの性能は大きくわかることを知ってください

エンジンオイルは製法の違いで異なる油膜の厚み

油膜は隙間を埋める力と思ってもらって大丈夫 油膜が厚いほど走行距離が多くなったエンジンに最適です

油膜を生み出す方法は2つ通常の製法とノンポリマー製法があります

通常製法とノンポリマー製法

粘度を作り上げる製法には、通常製法ノンポリマー製法の2つがあります 

通常製法は1種類のベースオイルに添加剤を加える製法です

もっとも多くこの製法が使われています 

ベースオイルがグループ2なのかVHVIなのかエステルなのかで価格は大きく違ってきますが潤滑性はべ―スオイルだけで決まる訳ではないことも知っておきましょう

どんなに良いベースオイルを使ったとしても配合する添加剤の質が悪ければ すぐに真っ黒になったり すぐにフィーリングが悪化したりするオイルになります

同じベースオイルを使っても添加剤の品質・使い方しだいで全く異なる性能を発揮します

ノンポリマー鉱物オイルリッチ製法【推奨】

通常1種類のベースオイルに添加剤を加える製法に対して

贅沢に2種類のベースオイルを使用して粘りを作り出します

このため生産コストは高くなります

ノンポリマーは本来持っている性能を引き出す製法です。

通常の製法は
例えるならば 料理に添加物を加えて味付けし 賞味期限を長くさ 発色剤で色味を良くしておいしそうに見せかけたもの

ノンポリマーは添加物を使わず 食材本来の味を生かして体に良い物を美味しくする料理

ポリマーを使わない製法は高コストですから販売価格も高くなってしまいますが それに見合った分以上の性能を発揮します

ノンポリマーは粘度変化に強く通常製法の2倍〜4倍安定

白煙防止・オイル消費防止効果が高くなります

通常製法とノンポリマー製法の性能劣化曲線

エンジンオイル屋では、粘度が常に安定する
ノンポリマー製法のエンジンオイルを推奨しています。

粘度変化が少ないから白煙防止・オイル消費防止に効果的なのです

ノンポリマーのメリット

  1. 熱に対してドロドロ加減が安定するからメカノイズが減少
  2. 粘性が安定すると隙間を埋める力が強くなるからエンジンフィーリングが長持ち 白煙防止・オイル消費防止に有効
  3. 隙間を埋める力が強くなると旧車・過走行車のピストンとシリンダーとの隙間、ヘッドカバーとの隙間からのオイル漏れ予防ができるようになるからトルクアップ
  4. 鉱物オイルだから冷却性が高く熱ダレ防止・タービンの冷却にも有効

どのオイル(粘度)を使ったらいいのか気になったら

元エンジンチューナーでエンジンオイルのプロがお客様お一人お一人の愛車に最適な粘度の選定をサポートさせていただいております

あなたの求めるものは何ですか?エンジン保護?旧車用のオイル?燃費?白煙?目的にあったオイル選びをしましょう

ご注意
整備に関するお問合せはご遠慮ください
整備は現車を確認しないと問題個所を特定するのは困難です

他社メーカーのお問合せにはお答えできません
当社は回答する立場にございませんのであらかじめご了承ねがいます

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