ロータリーエンジンのオイル選び | パフォーマンスを守る最適な選択

rotary

ロータリーエンジンは、他のエンジンとは異なる特別な構造を持つエンジンです。その独自の設計により、特定の車に使われていますが、その仕組みは少し複雑です。

ロータリーエンジンの基本構造と仕組み

1. ローター:形状と役割

ローターは、三角形のような独特の形状を持つ部品です。エンジン内部で回転することで、燃料の燃焼と圧縮、排気を行う役割を担っています。ローターの各頂点には「アペックスシール」と呼ばれる部品が取り付けられており、これがローターとエンジンハウジング(外側のケース)の間の隙間を密閉し、圧縮を保ちます。

2. ハウジング:形状と役割:

ハウジングは、ローターが回転する円形の空間を提供する部品です。ハウジングの内側には、燃焼室の形状が描かれており、燃焼サイクルがここで行われます。ハウジングには吸気ポート、排気ポート、点火プラグが設置されており、これらが燃焼プロセスに直接関わります。

3. ローターの動き:エピトロコイド運動

ローターはハウジング内で「エピトロコイド運動」と呼ばれる特殊な回転運動を行います。これは、ローターがハウジング内で回転しながら、各頂点が順番に吸気、圧縮、燃焼、排気の各プロセスを行う動きです。この運動によって、エンジンの各サイクルが独立して行われるため、効率的なパワーの発生が可能になります。

ロータリーエンジンの動作サイクル

1. 吸気

  • プロセス: ローターが回転して吸気ポートが開くと、燃料と空気の混合気がハウジング内に吸い込まれます。このとき、ローターの一つの部屋が拡大し、混合気を取り込みます。

2. 圧縮

  • プロセス: 吸気が完了すると、ローターの回転に伴い、取り込んだ混合気が圧縮されます。このとき、ローターの部屋は再び小さくなり、混合気が高圧状態になります。

3. 燃焼

  • プロセス: 圧縮された混合気に点火プラグから火花が飛び、燃焼が開始されます。燃焼によって発生したエネルギーがローターをさらに回転させ、エンジンの出力が生まれます。

4. 排気

  • プロセス: 燃焼後のガスが排気ポートから外に排出されます。これで一連のサイクルが完了し、ローターは次の吸気サイクルに進みます。

ロータリーエンジンの特性とメンテナンスの重要性

ロータリーエンジンは、このような一連のプロセスを高速で繰り返し行うことで、コンパクトな設計ながらも高出力を実現しています。ローターの動きが常に滑らかであるため、振動が少なく、静かに回転するのも特徴の一つです。しかし、ローターとハウジングの間にあるアペックスシールの摩耗や、オイルの消費が多い点など、特有のメンテナンスが必要になります。

ロータリーの大敵スラッジとカーボンの蓄積

ロータリーエンジンは、アペックスシールを潤滑するために、燃焼室に直接エンジンオイルを噴射します。

しかし、この過程で、黒く劣化したエンジンオイルがガソリンと一緒に燃焼し、結果として大量のカーボンが発生します。

これにより、ハウジング内にカーボンが蓄積しやすくなり、エンジンの内部での摩擦が増加してしまいます。

メンテナンスの難しさ:

ロータリーエンジンはカーボンの蓄積を防ぐために、適切なオイルの選択が非常に重要です。適切でないオイルを使用すると、カーボンがさらに蓄積し、エンジンの摩耗が加速するリスクがあります。

ロータリーエンジンのメンテナンスとケア

ロータリーエンジンに最適なオイルの選び方

ロータリーエンジンのパフォーマンスと寿命を維持するためには、適切なエンジンオイルの選択が不可欠です。このセクションでは、ロータリーエンジンに最適なオイルの選び方について詳しく解説します。

オイルに配合する添加剤の役割と粘度

極圧剤の役割: オイルの粘度自体が直接的に摩擦や摩耗を減らすのではなく、摩擦摩耗を防ぐ主要な要素は、オイルに含まれる極圧剤(Extreme Pressure Additives, EP Additives)です。極圧剤は、金属表面に化学的な反応層を形成し、部品が直接接触することによる摩耗を防ぎます。

粘度の役割: オイルの粘度は、エンジン内部の隙間を埋め、燃焼室の気密性を保つことで、エンジン出力を確保確保します。しかし、摩擦や摩耗の防止においては、極圧剤が重要な役割を果たしており、これがアペックスシールやサイドシールなどの部品の寿命を延ばします。

高いエンジン冷却性

  • 冷却性はベースオイルの分子構造で決まります。分子が小さい合成は熱しにくく、冷めにくい特性を持ち、分子が大きい鉱物は熱しやすく、冷めやすい特性を持つことになり、高い冷却性を持ちます。

ロータリーエンジンに適した粘度: ロータリーエンジンは特に高回転での使用が多いため、オイルが高温になる傾向があります。そのため、10W-4020W-50のような中~高粘度のオイルが推奨されます。

選び方のポイント: エンジンが冷え切った状態でもエンジンを保護できるオイルがポイントです。冷間時からのエンジンスタートのことをコールドスタートといい、摩耗の多くはコールドスタート時に起きています。

ロータリーエンジンには鉱物オイルが最適

マツダのホームページにも記載がありますが、ロータリーにはカーボンデポジットが発生しにくいオイルの使用を推奨しています。今は廃版となっている「ロータリー1」は鉱物油であることがその理由のひとつで、「ノンポリマー鉱物油」は特にカーボンデポジットが発生しにくい潤滑油です。

オイルの成分

  • 添加剤の役割: オイルには、摩耗防止剤、洗浄剤、酸化防止剤などの添加剤が含まれています。これらの添加剤は、エンジン内の摩耗を抑え、エンジンを清潔に保つ効果があります。

  • 摩耗防止: ロータリーエンジンは、アペックスシールが重要な役割を果たしており、これが摩耗するとエンジンの圧縮が保てなくなります。そのため、**ZDDPまたはZINC(ジンク)**などの摩耗防止剤が多く含まれるオイルを望むユーザーも多いかと思われますが、多い少ないの問題ではありません。

  • 高温安定性: ロータリーエンジンは高温になるため、オイルが酸化しにくいことが重要です。オイルの酸化を防ぐ抗酸化剤が含まれている製品は、高温でも劣化しにくく、長期間にわたってエンジンを保護します。特に、ロータリーエンジンにとって重要なのは、高温安定性摩耗防止です。(耐熱性ではなく、高温安定性が必要です。多くの方が耐熱性と勘違いしています。)

化学合成オイルと鉱物油の違いについての誤解を解く

化学合成オイルと鉱物油の比較資料について

  • 化学合成オイルと鉱物油にはそれぞれ特性があり、多くの方が化学合成オイルの方が優れていると考えています。しかし、実際にこれらのベースオイルの潤滑性を比較した資料は存在しません。

  • 化学合成オイルが優れているという一般的な認識は、必ずしも正確ではありません。潤滑性についての真実を理解するために、次のポイントを押さえておくことが重要です。

潤滑性とは何か?

  • 潤滑性の定義: 潤滑性は、エンジン内部の金属部品同士の摩擦を減らし、摩耗を防ぐ能力のことを指します。これによってエンジンの寿命が延び、パフォーマンスが維持されます。

  • 極圧剤の役割: 重要なのは、潤滑性はベースオイルの種類(化学合成か鉱物油か)ではなく、オイルに含まれる「極圧剤」によって決定されるということです。極圧剤がエンジン内部で金属表面に保護層を形成し、摩耗を防ぎます。このため、「極圧剤の質が問題」です。どんなに優れた化学合成油であっても、質の悪い極圧剤を使っていると、摩耗し、摩擦も大きくなります。鉱物油であっても化学合成油を超える性能を持つことは可能であり、優れた潤滑性を発揮します。

流動性の高いベースオイルとカーボンデポジットの関係

  • 流動性が高いオイル:(サラサラなオイル)は、ポリマーが使用されることが多く、このポリマーが高温で分解してしまうと、カーボンデポジット(エンジン内部に蓄積される炭素の堆積物)を引き起こす原因になります。

  • カーボンデポジットの影響:カーボンデポジットは、エンジン内部の動きを妨げ、最終的にエンジンの性能低下や故障を引き起こします。そのため、流動性が高いオイルを使用する際には、ポリマーの含有量やオイルの品質に注意が必要です。

化学合成が良いというのは目的しだい

  • お客様へ: 化学合成オイルが必ずしも最良の選択ではないことを理解していただくために、オイル選びでは潤滑性やカーボンデポジットのリスクについても考慮する必要があることをお伝えします。鉱物油であっても、「質の良い極圧剤」が含まれている製品は優れた潤滑性を発揮し、エンジンをしっかりと保護します。

  • 推奨製品: 例えば、ライズオイルのような製品は、極圧剤であるメタルシールドをしっかりと配合し、ノンポリマー製法により、ポリマーの使用無くすことで、エンジンの摩耗を防ぎ、カーボンデポジットのリスクを低減するよう設計されています。

これらの問題に対して、ライズオイルのノンポリマー鉱物オイルが効果的な解決策を提供します。

カーボン蓄積の抑制

  • ライズオイルのノンポリマー鉱物オイルは、燃焼時に発生するカーボンを効果的に抑制するように設計されています。このオイルは、燃焼室内でのカーボンの蓄積を最小限に抑え、ハウジング内をクリーンに保ちます。その結果、エンジンの摩擦が減少し、効率的な燃焼を維持することができます。

摩耗防止:エンジン保護と寿命の延長

  • このオイルは、ロータリーエンジンのアペックスシールを保護し、エンジンの摩耗を防ぐために特別に設計されています。定期的な使用により、エンジンの寿命を延ばし、長期間にわたり本来のパフォーマンスを維持することが可能です。

  • 燃焼室のオイルを噴射してロータリーエンジンの大事な部分であるアペックスシール・サイドシール(シールとは密封するという意味)を潤滑させています。ここで重要なのが極圧剤。愛車を大事に思うのは自然なことですが、市販添加剤を追加することはオイルのバランスを崩すことにつながります

  • ライズオイルにはメタルシールドがすでに配合されており、アペックスシール、サイドシールを摩耗から保護します。

カーボン発生を抑制

常にオイルを噴射して潤滑させますからオイルが減るのは当然なエンジンだからこそカーボンが発生しにくいエンジンオイルが求められています。これを可能にしたのがノンポリマー鉱物油。ポリマーは劣化すると黒くなり、劣化したオイルが燃焼すると、大量のカーボンを発生させます。この原因物質が入っていないことで、カーボン発生を抑制できるのです。

コールドスタートに強いオイル

  • 冷間のエンジンスタアート: 冷間時のエンジンスタートが摩耗原因のトップ。エンジンを止めるとオイルは重力で下に落ち、同時に極圧剤も下へ落ちていきます。特にサラサラなオイルほど落ちやすいものです。ドロドロなオイルほどその場にとどまる力が強いことになります。

ノンポリマー鉱物オイルこそロータリーに相性抜群

鉱物オイル推奨

  • ライズオイル このオイルは、ロータリーエンジンに特に適しており、高温時でもしっかりとした潤滑性を保つことができます。さらに、ZDDPであるメタルシールドが多く含まれており、アペックスシールの摩耗を防ぐ効果が高いです。旧車や高回転での使用が多いエンジンに最適です。

  • ライズオイル GT-RS 20W-50: こちらは、特に過酷な使用条件でエンジンを保護するために設計されています。高温時の安定性が高く、長距離走行やスポーツ走行を行うロータリーエンジンに向いています。また、エンジン内部のクリーンな状態を維持するための洗浄剤も配合されています。

  • 使用シチュエーション:
    • 日常使用: 通勤や日常的な運転では、ライズオイル 10W-30(ノンターボ)がおすすめです。寒冷地でも十分に機能し、エンジンをしっかり保護します。
    • スポーツ走行: サーキットや峠での走行には、ライズオイル GT-RS 10W-40(ターボ)が最適です。高温下でもオイルの粘度を保持し、エンジンのダメージを最小限に抑えます。
    • 旧車: 特に古いロータリーエンジンを搭載した車には、より高粘度のオイルが必要です。ライズオイル 20W-50は、オイル漏れを抑制し、エンジン内部の摩耗を抑えます。

ノンポリマー鉱物オイルとは2種類のベースオイルを贅沢に使用したエンジンオイルです。鉱物オイルなのになぜこんなに高価なのかを思うかもしれませんが、その価値は価格以上のものがあります。

ISOTテストとは165.5℃ 24時間加熱し性能の変化を見るテスト。A社は化学合成油試験前の粘度指数は19.34だったものが15.47に急減。一方RIZOILは16.84から16.43と変化は極小。抗酸化作用も大きい。

実走行に当てはめると

オイルの性能を維持する力が強いことを証明。

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ロータリーエンジン対応 車用エンジンオイル

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