ノッキングの原因と対策

knocking

ノッキング音

アクセルを開けたとき、または踏んだときに、エンジンから「カリカリ」「カラカラ」などの音が発生します。

ノッキングデトネーション

エンジン内部で異常燃焼「カリカリ」「カラカラ」などの音はデトネーションの前兆とおもっていいでしょう。デトネーション(爆轟)とは衝撃波を伴う爆発です。衝撃波はそばにある物を破壊してしまうぐらいの破壊力を持ちます。

例えば
ジェット戦闘機が音速を超えたときに起きるのが衝撃波です。音速を超えた戦闘機が民家のすぐ上空を飛ぶと、窓ガラスなどは破壊されてしまいます。

その小型版がエンジン内で起きている爆轟です。これが起きると酷い場合はピストンに穴がが空いたり、ピストンの角が溶けたりします。

ノッキングプレイグニッション

燃焼室に残っているカーボンが原因で起きる爆轟。ピストンにカーボンが付着していると、カーボンが火種になり、そこから発火。爆轟が起きる。

燃焼室は常に綺麗にしておいた方がいいですね。

カーボン除去剤(除去方法)

ノッキングデトネーションが起きる工程

ピストンが上死点に来る前にピストンの端っこが高温高圧になるので自然発火を始める。カーボンなどがピストンに残っていれば、そこから発火する。


次に上死点に来るとスパークプラグで火花を出し燃焼開始


ピストンの端っこからの自然燃焼とプラグからの燃焼が広がる


どちらからも高温高圧の燃焼がぶつかり合うとデトネーション(爆轟)が起きる。

燃焼とデトネーション(爆轟)の違いを動画で見る

者は燃焼。後者はデトネーション(爆轟)燃焼の場合は、バンバンと大きな音がしますが、デトネーションの場合は、衝撃波も加わるので、固定したカメラが衝撃波で揺れているのがわかります。

ノッキングをさせない為に

オクタン価の高い燃料を使う

上死点付近にくると、燃料は圧縮圧力により高温高圧になり、自然発火を始めるので、自然発火しないようにオクタン価の高い燃料を使う。

ハイオクはその為の燃料。現代の車はコンピューター制御になっており、ハイオク仕様のエンジンにレギュラーを使うと、ノッキングが発生します。そのノッキングを感知するノックセンサーが付いています。ノッキングを感知すると、点火時期を遅らせノッキングを回避しています。

ハイオク仕様のエンジンにレギュラーで走るからと入れ続けるのはエンジンに良くないのでやめましょう。

レースガスは市販のハイオクよりもオクタン価が高くなっています。

点火時期を遅らせる

ノッキングが起き始めてら、点火時期を遅らせることでノッキングを回避する事ができます。しかしながら、バイクには車ほどのコンピューター制御は今のところ行われていません。点火時期を早めるキットなどが販売されていますが、ノッキングが起きやすくなるので要注意です。

点火時期が遅いほど燃焼室の圧力を下げる効果があります。

空燃比不適合

キャブ、インジェクション等の不適合。燃料が薄いとノッキングが起きやすい。

チューンニングエンジン。高圧縮でもノッキングを出さない為に燃焼室温度を下げる事!

フレッシュエアーを吸い込む

少しでも燃焼室の温度を下げる工夫を!燃焼室が高温になることで、自然発火するのであれば、高温にならないようにすればいい。ただ一つだけやれば良いのでは無く、小さな事を積み重ねて行くことが大事。

キャブレターの前に断熱材をするのは、エンジンの熱気を遮断し、少しでも冷たい空気を吸い込ませる為のもの。決してかっこよさだけでは無いのです。

車でもエンジンルーム内にエアクリーナーむき出しの物(中)はエンジンルームの熱気を直接吸い込むのであまり良くない。エンジン下から吸い込むと熱気は吸い込まない。

燃料を霧化

例えば、エコカーの圧縮比は12.0:1や14.0:1という高圧縮になっているものもある。高温になるため工夫されているのは霧化!インジェクションのノズルの穴が1個だったものが複数個になり、さらに霧化され燃焼室に入ると、気化熱で燃焼室の温度を下げる効果を持っている。

画像はノズルが4個のものと12個のもの。

より霧化させるために、定期的に洗浄しなければいけません。キャブレターの場合は燃料に洗浄剤をいれたり、オーバーホールしたり、インジェクションの場合は同じく燃料に洗浄剤をいれたりして性能を保つ必要があります。

カーボン除去剤>>

熱だまりを無くす(カーボン除去)

ピストンやヘッドにカーボンが付着すると、そこが発火点となり、プレイグニッションが起きやすくなります。カーボンが付着しにくくなるように、ピストン上面は鏡面に仕上げたり、ヘッドの燃焼室側も鏡面に仕上げる。

カーボンが付着しにくくすることでプレイグニッションを予防します。

カーボン除去剤>>

熱だまりを無くす

ピストンはシリンダーよりも少し低い位置にあります。ピストンとシリンダーのデッキとの間をデッキクリアランスといいます。

熱はこのデッキクリアランスにこもる事になりますので、デトネーションが起きやすいのです。であれば、このクリアランスを無くしてしまえば、デトネーションは起きにくいことになります。

下の画像はシリンダーヘッドを研磨してデッキクリアランスを無くしたもの。ガスケットは単に圧縮を保つためにあるのでは無く、熱をガスケットから冷却水へと逃がす役目をしています。

熱だまりを無くし、ガスケットから冷却水に放熱する方法があります。ただしこの方法はノウハウがとても重要でなんでも研磨すればいいと言う物ではありません。

社外ピストンを組むときは、このピストンデッキクリアランスを確認してから購入し研磨等を行ったほうがいいでしょう。単に組むのではいけません。

大事なのは吸気ではなく、排気!

燃料と空気を吸い込むには限界があります。排気しなければ、吸気も出来ないってこと。

エキゾーストには大きく分けて4-2-1タイプの集合管と4-1タイプの集合管があります。どちらが高回転での排気効率が良いかとというと、4-1タイプ。

まずは動画で確認してみましょう。4-2-1タイプだとこうはなりません。排気がうまく出来ると、燃焼室の温度も下がります。

またエキゾーストは長いより短い方がレスポンスが良い。

排気タイミング

排気タイミングを少し遅らせるだけで、排気温度は200℃下がります。排気タイミングを調整しましょう。燃焼室の温度も下がりますのでデトネーションを予防できます。